独自指標について


奪取点(単位:点)
wRAAはWeighted Runs Above Averageの略で、wOBAを用いて平均的な打者と比較してどれだけ多くの得点を獲得できたかを表す指標です。
プロ野球人事部では平均的な打者との比較ではなく、下位30%ラインにいる打者と比較してどれだけ多くの得点を獲得できたかを算出して、打者の実績を評価します。
wRAAの要素となる wOBAはWeighted On-Base Averageの略で、打撃と盗塁企図の結果を得点期待値を使用して出塁率イメージの数値に換算する指標です。
この指標には多様なバージョンが存在しますが、Standard wOBAの盗塁企図結果を反映させるSpeed版を採用し、公式記録にない失策出塁を除外することとします。

Standard wOBA(Speed)={0.7×(四死球−敬遠)+0.9×単打+1.25×二塁打+1.6×三塁打+2.0×本塁打+0.25×盗塁−0.5×盗塁死}÷(打席数−敬遠−犠打)

wRAA={(wOBA−総wOBA※1)÷ wOBA係数※2}×打席数

※1 総wOBA=当該年度NPBのリーグ別の下位30%ラインの数値
※2 wOBA係数=Standard wOBAを使用しているためMLB版の 1.15

下位30%ラインは、そのシーズンに一軍出場したすべての打者のwOBAから投手登録されている選手分を除外し、平均と標準偏差を求めて標準正規分布表からZ値が下位30%ラインとなるwOBA値を算出します。(下から数えて30%ラインに実際に位置する選手の成績ではなく、理論値となります)

比較対象を平均的選手ではなく下位30%ラインと設定する理由は、wRAA合計をリーグ総打点数と近似させることが目的です。

下位30%ラインに位置する打者よりも、どれだけ得点を上積みできたかという数値なので「奪取点」と呼ぶことにします。

抑止点(単位:点)
アウト数と対戦打者数からアウト獲得効率を求め、リーグ下位0%ラインにいる投手がプレーした場合と比較し、どれだけ多く失点を防げたのかを算出して、投手の実績を評価します。

アウト獲得効率=対戦打者数÷獲得アウト数

抑止点=(獲得アウト数×基準アウト獲得効率※1−対戦打者数)×失点係数※2

※1 基準アウト獲得効率=当該年度NPBのリーグ別の下位0%ラインのアウト獲得効率
※2 失点係数=総失点数÷総対戦打者数

下位0%ラインは、そのシーズンに一軍出場したすべての投手のアウト獲得効率を算出し、平均と標準偏差を求めて標準正規分布表からZ値が下位0%ラインとなるアウト獲得効率値を算出します。(最下位の投手の成績ではなく理論値となるので、実際には0%ラインより下位となる投手が一定数発生します)

比較対象を下位0%ラインに設定する理由は、打者評価に使用する奪取点の合計とバランスさせることが目的です。

下位0%ラインに位置する投手よりも、どれだけ失点を抑止できたかという数値なので「抑止点」と呼ぶことにします。


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